スナック研究会

サントリー文化財団研究助成 「日本の夜の公共圏」

「おはよう日本」スナック特集

 12月12日(火)7時からの「おはよう日本」でスナック特集が放映されました。取材協力をして少しだけ登場したこともあるので、以下に簡単に内容紹介と感想などを。


 番組内容は上記の公式サイトに掲載された通りなのですが、やはり「介護スナック」の件が、とても印象に残りました。

 取材に来られた記者さんからも話には聞いていたのですが、このスナックは、もともと介護施設などを経営されている方が運営しているもので、スナックの従業員のひとたちも介護士の資格を持っているそうです。

 また、この「介護スナック」という名称は商標登録されており、高齢者を狙って食い物にするような形態での介護スナックを出させないようにしている、とも聞きました。番組で登場した「竜宮城」は横須賀にありますが、他の地域からノウハウを教えてもらいに来て、実際に開業しているお店も既にあるとのことです。志の高さに驚きました(スゴイ!)。

 ネットで番組への感想を見てみたところ、介護スナックに対しては賛否両論があるようで、「ディストピア感が半端ない」とか「ここまでやる必要があるのか・・・」といった意見も目にしましたが、実際に利用された方の感想などを見ると、今後さらに高齢化社会が進展する中で、本当に必要とされるものとなってゆくのではないか、と思いました。

 「竜宮城」の詳細については、利用者の方の声も含めて以下の記事の中によくまとまっていると思います。

 

 

 番組では、この他に五反田で「つながり」を求めて日替わりママがカウンターに立つスナックが紹介されていましたが、これは以前、三浦展さんが以下の記事で紹介されていたもの、そのものだなと思いました。これは、とても良い記事なので、改めて貼っておきます。特に以下の引用の下りがグっと来ました。

「街に、常連の店が2、3軒あるということは、その街に住んでいる理由があるということだと思うんです。会社から帰ってきて、ただ寝て、また会社に行くだけの街ではつまらない。その人が街に住んでいる理由がない。私自身も店に立つことで、この街にいる理由がある。街の中で自分が承認される場所をみんな欲しているんじゃないかな。そういう意味で、私はママをしながら、コミュニティの勉強をしているのだと思っている。本業もそういうことを考えることが多い仕事なので」 


 以上のような形で、高齢者と若者という2つのラインから新しい形のスナックを紹介した番組だったわけですが、10数分という短い枠の中に分かりやすく話をまとめていて、良い番組だったと思います。

 

 なお、番組では、スナック研究会と『日本の夜の公共圏』もスナックの歴史や社会的役割との関係で紹介されました。 

日本の夜の公共圏:スナック研究序説

日本の夜の公共圏:スナック研究序説

 

 

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 余談ですが、以下の写真は、青森県三沢市のスナック街です。

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 なお、途中ちょっとだけスナック研究会の写真も登場しますが、個人的に最もツボにはまったのは、以下の場面でした。

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 スナック研究会で、わたしがインドネシア出張の際に買って来たバティックとペチ(peci)という正装用の帽子をかぶった伊藤正次先生(日本行政学の至宝・・・)が真ん中になって皆で笑ってる写真ですが、この映像をみたインドネシア関連の研究者から「ジャワのキアイ(土着のイスラーム指導者)感が半端ないです・・・」とのご感想を頂きました(腹を抱えて笑っている)。

 

 今回の取材は、この番組が放映される前の以下の記事への協力も含め、色々なやり取りをさせて頂きましたが、とても誠実に対応して頂け、気持ち良く取材協力させて頂きましたし、わたし自身も記者さんから取材で知ったスナック関連の話などを教えて頂き、とても勉強になりました。

 


 番組でも紹介された通り、スナックが出来たのは、先のオリンピックが開催された1964年(昭和39年)。次回2020年のオリンピックに向けて、スナック全体が盛り上がるお手伝いを更に続けてゆければと思います。