スナック研究会

サントリー文化財団研究助成 「日本の夜の公共圏」

海路、八幡浜市へ

 別府湾を望むと天気のよい日には遙か向こうに佐田岬が見えると言われ、別府出身の私は子どもの頃から、実家の窓から海を眺めては、「あれが四国の突端、佐田岬なのかな」と思いながら過ごして来た。

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※ 鹿児島のほうに「佐多(さた)岬」というのがあるが、アレとは別で、こちらの方は「さだ」岬と濁って読む。

 

 今般、ご縁あって別府に帰省したついでにフェリーで三時間弱の対岸にある八幡浜市を講演で訪れたのだった。

 

 折しも財務省から企画財政部長として八幡浜市に出向されている今岡植さんが、ゼミの卒業生のお兄さんだったという偶然のご縁によるものである。今岡さんの八幡浜での地方創生の取り組みなどについては、以下のブログなども参照されたい。


■ やわたはま地方創生ちゃんねる/マーマレード部長の徒然日記


 実のところ八幡浜には今をさかのぼること30年ほど前、中学の合宿で大洲の青年の家に行った際、上陸しているはずなのだが、その時の記憶がほとんど無いので、実質的には初めての訪問といっても差し支えないだろう。

 宇和島運輸のフェリーで別府観光港を出港すると、みるみる別府の街は小さくなってゆき、左手に日出と杵築に挟まれ湾へとせり出した部分を眺めていると、すぐに右手に大分市の大工業地帯が間近に見え出す。そうこうしているうちに佐賀関が目に入り、その先、陸地が途切れたなと思うと程なくして、佐田岬が目に入ってくるのであった。おおむね陸づたいなので、さして揺れることもなく、飽きない船旅である。天気の良い日の船旅は本当に最高。

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 地図で見ると実に細長い岬が四国から九州に向かって伸びているわけだが、実際に間近でみると山がちの岬が婉々と左手に連なり、なかなかの壮観である。途中、尾根沿いに風力発電のための巨大な風車が林立し、下北半島でも同じ光景を目にしたのを思い出した(いずれにも近傍に原子力発電所が立地している)。

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 岬の山肌には、急斜面にミカン畑が広がっている。

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 滞在中、市役所の方のご厚意で斜面のかなり上のほうまで車で連れて行って頂いたが、そこから望む、息を呑むような瀬戸内海の眺めは「絶景」としか言いようのないものだった。これを観るためだけに訪れる価値があると言っても過言ではないだろう。

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 八幡浜は、山に囲まれた小さな平地に密集した市街地を形成しており、古い街並みの残る本当にのどかな街である。実は来てみて初めて知ったのだが、八幡浜は「ちゃんぽん」が名物で、長崎のものとは違った澄んだスープで供される変わったものなのだが、食べてみると実に美味しい。

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 ちゃんぽん御三家のことなども含め、以下によくまとまっている。

 ちなみに私は上記御三家のひとつ「イーグル」で、ちゃんぽんと黒焼きめし(小)を食べた。これはアリ。というか美味い!

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 ちゃんぽんだけでなく、海の幸に豊富で、前泊した夜にお連れ頂いた店で食べたものも、素晴らしいものだった。えその皮を巻いた竹輪、豆腐の上に明太子を載せて焼いたものなど、初めて食べたが、実に美味。刺身のたぐいに関しては言うまでもない。

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 市長をはじめ市役所の主だった方々と夜の街をめぐり、色々な話を聞いたが、ひとつ印象に残ったのは、八幡浜の皆さんは、そのほとんどが私の郷里である別府に来たことがあるし、今でも行くひとが多いのに対して、別府のほうでは、そうでもないということだった。実際に訪れてみると、本当に落ち着くのどかな街で、同じ海に面した別府とも違った風情がある。ひとことで言うと「癒される街」である。別府から行くひとをもう少し増やしたいものだな、とも思ったのだった。

 スナックでは例によってカラオケとあいなったのだが、ちゃんぽんの歌があるのには驚いた次第。

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 講演でも触れたが、人口3万8000人ほどの八幡浜市は、人口あたりのスナックの数は多く、愛媛県内では宇和島市につぐ規模を誇っている( 市区町村のほうは、1700以上の中での順位であることに注意)。

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 別府~八幡浜間はフェリーで片道3,100円だが、往復割だと6,000円を少し切るくらいの上、船内はとてもキレイで快適なので、小旅行にはうってつけであり、強くオススメしたい。海が荒れることも少ないので、良い旅になるだろう。

 

 講演会当日の様子は、当日取材に来ていた愛媛新聞のほうで以下のような形で取り上げられていた。実家からはすぐに行けるので、次回帰省した時にまた訪問したいものである。

 

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 最後に、お世話になったので宣伝しておくと来年、八幡浜では世界マーマレード大会が開催されるとのこと。マーマレード好きの方は、是非どうぞ。

marmalade-festival.jp

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